偶然性の哲学　032　講座詳細

【032】偶然性の哲学【Zoom講座】
美・自由・時間性

2024年秋

講座番号	032
開催日	2024/10/26 ～ 2024/12/14
曜日	土
時間	10:40 ～ 12:10
回数	全3回
定員	30名
最少催行人数	8名
受講料	9,900円
教材費（全員対象）

講座詳細

人生は偶然にみちていると言われます。じっさい日々の小事でも偶然はあちこちに顔を出します。例えば、或る日電車で誰々に乗り合わせたとか、ふと目にした何々で往時を想い出すなど、私たちの現実は偶然から成り立っているとさえ言えそうです。九鬼周造は『偶然性の問題』(1935)の冒頭で、偶然性とは必然性の否定であり、偶然性にあって存在は無に直面している、と述べています。すべてをただ存在するものとして見る科学が対象としているのは「必然性」であって、「偶然性」ではなかったのです。しかしそもそも人間の生とは、生と死(有と無)の全体、あるいは生と死のせめぎあい、相互浸透としてのみ真に理解され得るというわれわれの経験的事実からするならば、「偶然性」への問いこそは、哲学はもちろん、宗教、文学、芸術を通底する究極の問いである、といっても過言ではないでしょう。

注意事項

こちらの講座は、今期から講座時間が土曜の午前中(10:40～12:10)に変更いたしました。
テキストは講師がプリントを用意いたします。また、参考文献については、講座中にそのつど御案内します。
参考文献:九鬼周造『偶然性の問題』(岩波文庫、1,353円)

講師

酒井潔（サカイキヨシ） 学習院大学名誉教授

【プロフィール】
1974年京都大学文学部哲学科卒業。1982年京都大学大学院文学研究科哲学専攻博士課程修了。日本学術振興会奨励研究員、京都女子大学専任講師、岡山大学助教授を経て1995年より学習院大学文学部哲学科教授。専攻は哲学・哲学史。ライプニッツ、カント、ハイデッガーを中心とした近現代ドイツ哲学が専門領域。現象学、形而上学、比較思想のアプロ―チから研究している。2009年～現在日本ライプニッツ協会会長。2015年～現在実存思想協会理事長。主な著書『自我の哲学史』(講談社)、『ライプニッツ』(清水書院)、『ライプニッツのモナド論とその射程』(知泉書館)他。

講座スケジュール

回	実施日	時間	講座内容	担当講師
1	10/26（土）	10：40～12：10	「偶然性」の美学―九鬼周造『偶然性の問題』が明らかにしたこと	酒井潔
2	11/16（土）	10：40～12：10	「偶然性」をめぐる巨人の闘い―ライプニッツの可能的世界論	酒井潔
3	12/14（土）	10：40～12：10	「偶然性」の現象学的意味―ハイデッガー『存在と時間』の現存在分析	酒井潔